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任意売買 2

昨日任意売買の相談を二件受けた。

一件は既に競売決定になっていて、少しでも借金が減れば良いという典型的な事例。

こちらは債権者と交渉して売却する方向で行こうと思っている。


もう一件はちょっと困った問題。

実はもう一件の方の依頼者は、不動産業を営んでいる人の自宅。

この人、ちょっと事情があって、素人なのに不動産会社を立ちあげたのだけれど、

所詮素人だから、上手く行くわけが無い。

当然収入にはならず、一年で行き詰まってしまった。


当然不動産の知識も中途半端で、

差し押さえられる不動産の所有権を、第三者に移転してしまえば、差押を免れると思っていた様だ。

差押を受ける不動産を、第三者に所有権移転できるが、既に付いている抵当権は有効だから、

第三者に所有権移転しても、債務を返済しない限り、抵当権は実行される。

彼は、支払い不能になっている家の所有権を親に移転すれば良いと思っていたみたいだ。


まぁ元々素人なのに、悪いやつにそそのかされて不動産会社を立ち上げるぐらいだから、

考えが甘いのは当然の道理なのだろう。


この人は何とか買い戻しをしたいと思っている様だが、

絶対的信頼関係のある人に売却した形を取って、

その人に住宅ローンを組んでもらって債務を支払い、賃貸として住むと言う手があるが、

そうそうそんな都合の良い人は居ない。

それに残債が全部消える訳では無く、残った残債は破産宣告でもしない限り

支払わなければならない。


まぁその内どうにもならなくなって、また相談に来るだろうから放おっておくことにする。


しかし長引くデフレ不況、消費税増税でデフレは更に続きそうで、

これからも住宅ローン破綻する人は減りそうに無い。



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マンションは運命共同体

首都圏の利便性の高い所では、用地が足りないから建築物は高層化している。
マンションもその一つだ。

分譲マンションと言うは、運命共同体なのだ。
確かに自分専用の部屋はあるが、躯体や施設は所有者全員の共有物であり、
自分専用の占有物では無い。

土地は古くなっても腐らないが、建物は経年劣化する。
特に設備関係は数十年で補修が必要になってくる。
そういった費用は、毎月修繕積立金として管理組合が徴収して積み立てている。

しかし古くなって建て替える時や、地震などで大きな損傷を受け、
大規模な補修が必要になった時に問題が発生する。

これは阪神淡路大震災の時にあった事なのだけれど、
2つに構成されたマンションがあって、一つは無傷だったのだが、もうひとつは大きく損傷を受けた。
所が、この2つのマンションの管理は統一されているため、
無傷だった方の所有者も、もう一つの大きく損害を受けた建物の補修費用を負担しなければならないのだ。

自分の所は何とも無いのに、隣の建物の為に費用負担をしなければならないのがマンションなのだ。

マンションの寿命はおおよそ60年と言われている。
大体30年を超えると、設備関係を中心に補修が必要になってくる。
またコンクリートの安全性能を考えると、60年がひとつの目処になってくる。
そうなると危険で、建て替えの必要が出てくる。

所がそこに住んでいる人の状況は千差万別だ。
「別に処分しても構わない。」
と言う人も居れば、
「中古で買ったから、ローンの残債が残っている。」
という人も居るし、
「ここを追い出されたら行く所が無い。」
と言う人もいるだろうし、
「建て替えの為の費用は出せない。」
と言う人もいるだろう。

戸建てなら、住んでいる人の自由だ。
「雨樋が壊れているけど、今は金が無いから来年直す事にしよう。」
とか、
「来年は子どもたちと二世帯住宅に建て替えよう。」
とか
「売却して他所へ引っ越そう。」
とか、個人の自由でどうにでもなる。

しかしマンションは、共同所有物であるため、個人の自由にはならないのだ。
まだ日本にマンションが建ち始めて60年は経って居ない。
しかしもう10年もしたら、高度成長期に建てられたマンションは、築60年を越える。
そうなると老朽化したマンションの建て替え問題が発生する。

古い都心のマンションは、建蔽容積に余裕があるから、
取り壊して二回り程大きな建物を建てて増やした所を新たな入居者に売って、
建て替え費用を捻出する等価交換と言う手がある。

しかし近年に建てられたマンションは、建築限度いっぱいに建てられているから、
等価交換と言う手が使えない。

また都心や利便性の高い立地のマンションならば、デベロッパーと組んで、
再開発と言う手もあるが、郊外のマンションはその手も使えない。

古くなった運命共同体のマンションはこれから大問題になる。
また首都圏地震の発生が懸念されている昨今、
もし地震に襲われて大きな損害を受けて住めなくなったマンションも同様だ。
壊れて住めなくなった建物の費用負担をしなければならない。

マンションを買うと言う人は、その辺りの事を考慮した上でマンションを購入した方が良い。
マンションは、所有者全員が運命共同体になるのだ。

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任意売買

任意売買という物がある。

これは住宅ローンを支払えなくなった人が、ローン会社から差押を食って、

競売に付される前に一般売買として差し押さえられた不動産を売る事だ。


しかしこれには高いハードルがある。

その最大のハードルは、債権者がどこまで損切りをしてくれるかと言う事だ。


大抵の人は、売っても残債が残ってしまい、抵当権の末梢ができない。

抵当権の末梢ができなければ、所有権を移転する事ができない。

なので売る事ができない。


任意売買は依頼を受けた者が、債権者に対して損切りの交渉を行う所に最大の特徴がある。

交渉する相手は、債権者は勿論だが、税金を滞納している人も多いので、役所とも交渉する。

近年のデフレ不景気で、不動産価格も下がっていて、債権者は少しでも多く回収したい為、

その交渉は難航する。

役所もご多分に漏れず、税収減の煽りを受けて、民間同様損切りには厳しい姿勢だ。


近年では競売に、いわゆる競売屋が増え、一般客の依頼を受けて競売物件を競り落としたり、

競売に参加する一般客をサポートする業者が居る。

この結果、以前は安かった競売落札価格が、近年では、市場価格とそう変わらない状態になってきている。

その為、差押をした債権者側も、任意売買よりも競売で処分した方が、

高値で処分した方がより多く回収できるため、任意売買に応じないケースが増えている。


もう一つの問題は時間だ。

差押を受けると、競売まで3ヶ月から4ヶ月程度しか時間が無い。

この間に債権者との交渉や、依頼を受けた不動産に客付けをしなければならない。

相当迅速にやらないと、競売に落ちてしまうのだ。

景気が良い時ならば客は直ぐに見つかるだろうが、

不景気では余程割安でなければ客は見つからない。


任意売買を引き受ける不動産業者の方も、単に任意売買を受けて仲介で売る事は、

手間暇が掛かり、旨みのある仕事では無い。

任売物件を引き受けて客付けをしても、不動産仲介手数料は法律で決まっている。

ではなぜ不動産業者は任売物件を扱うのか。

それは時折、掘り出し物の物件があるからだ。

思いがけず債権額が低くて、割安だった場合、不動産業者がそれを買い取ってしまうのだ。

そうすれば安く仕入れて高く売れ、利益を沢山得る事ができる。

こうして日頃手間暇が掛かる分、埋め合わせをしているのだ。


実は今日、任意売買の相談に人が来る事になっている。

事前に聞いている話では、ちょっとむずかしい状況だ。あまりに債権額が多すぎる。

物件も新しいため、相当安くしないと新築と競合してしまう。

しかし安い価格設定では、債権者が損切りに応じない。多分競売で処分すると言うだろう。

引き受けて動いても無駄足になるだろう。

まぁ一応話を聞いて、どうするか決めようと思う。しかし多分ダメだと思う。



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繋がらない話

一般の人が不動産を買うときには、チラシやインターネットで不動産情報を得る。

業者間の取引では、相変わらず人から人への情報が多い。

特に事業用物件は殆ど表に出ないで、人から人へと情報が広がる。


所がこの人から人への情報は、伝言ゲームよろしくあまり信用出来ない物が多い。

既に売れてしまっている物や、価格や条件が違っていたり、

中には売り物では無いものまである。


どうしてそういう事が起きるかというと、これまた伝言ゲームその物で、

介在した人の意見や思惑、推測が入るからで、情報がネジ曲がってしまうのだ。


この手の物件で困るのは、売主と中々繋がら無いと言う事だ。

間に人が沢山入れば入るほどつながらない。

業界用語で、間に入っている人の事を「アンコ」と言う。

何か確認したくても、レスポンスが悪く時間が掛かってしまったり

中には先述した通り、売り物では無かったり、売主に辿りつけない物まである。


ダメな情報は最初から流して欲しく無いのだが、

ブローカーは少しでも手数料になれば良いと、来た情報を精査せず、

片っ端から流すから始末が悪い。

こっちはそれに振り回される事になる。

何日も掛けて費用を使って動いた結果、売り物では無かったなんて事は良くあるのだ。


昔不動産屋の事を「千三屋(せんみつや)」と言った。

千の内、三つしか本当の事を言わないと言う意味だ。

業者間でもこんな事をやっているのだから、一般からの印象が良い訳が無い。

最近はコンプライアンスが重要視されているから、

エンドユーザー向けの業者はちゃんとしているが、

業者間やブローカーが介在している物件は、相変わらず油断ならないのだ。


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自分のクビを締める仲介業者

前回の日記にも書いたが、日本経済は未だにデフレだ。

首都圏郊外の土地価格も絶賛値下がり中で、デフレだ。

当然建売も売れ行きが芳しくなくて、こちらも絶賛値下がり中。

マスコミや政府が景気は好転しているなんて言う事は、

郊外の不動産屋に関しては全く当てはまらない。


不動産の売れ行きが芳しくないから、不動産屋も閑古鳥が鳴いている。

だから、他社よりもお客を集めようとして仲介業者がやったのが、

「仲介手数料は頂きません!」作戦。


一般客が仲介物件を購入しようとしたら、物件価格の3%+6万円の仲介手数料を、

仲介業者に支払わなければならない。


だから客は仲介手数料が掛からない売主から直接買おうとする。

それでは仲介業者は食って行けないから、

お客からは仲介手数料をもらわず、売主から貰うという、

業界で言う「片手」で集客しようと言う訳だ。


所が、これは収入を自ら半分にすると言う事でもあり、

それまでの収益を確保しようと思ったら、倍の成約を取らなければ維持できない。


所が不動市場は冷え込むばかり。以前ほどの集客は無い。

倍の集客なんてとんでも無い。

更に手数料収入を半分にしてしまったから、

手数料収入激減で、今とても厳しい状況になっているそうだ。

一度下げてしまうと、上げるのは難しい。


仲介業者は自らデフレを作り出して、自分で自分のクビを締める事になってしまっている。

現在のところ、郊外の不動産業界に復活の兆しは無い。

大きな買い物だから、消費者の賃金が上がらない限り、不動産市場が上向く事は無いだろう。

だから、郊外の不動産仲介業者は、まだ数年厳しい状況に置かれる事になるのだ。


収入をみずから半分にして、顧客を独占しようなどと、

浅はかな考えを安易にやるからそんな目に遭うのだ。

そんな事をするよりも、しっかりプロの仕事をして、ちゃんと手数料を正当に貰えば良い。

だから不動産屋はバカだと言われるのだ。




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