勝手にぶつぶつ
任意売買
任意売買という物がある。
これは住宅ローンを支払えなくなった人が、ローン会社から差押を食って、
競売に付される前に一般売買として差し押さえられた不動産を売る事だ。
しかしこれには高いハードルがある。
その最大のハードルは、債権者がどこまで損切りをしてくれるかと言う事だ。
大抵の人は、売っても残債が残ってしまい、抵当権の末梢ができない。
抵当権の末梢ができなければ、所有権を移転する事ができない。
なので売る事ができない。
任意売買は依頼を受けた者が、債権者に対して損切りの交渉を行う所に最大の特徴がある。
交渉する相手は、債権者は勿論だが、税金を滞納している人も多いので、役所とも交渉する。
近年のデフレ不景気で、不動産価格も下がっていて、債権者は少しでも多く回収したい為、
その交渉は難航する。
役所もご多分に漏れず、税収減の煽りを受けて、民間同様損切りには厳しい姿勢だ。
近年では競売に、いわゆる競売屋が増え、一般客の依頼を受けて競売物件を競り落としたり、
競売に参加する一般客をサポートする業者が居る。
この結果、以前は安かった競売落札価格が、近年では、市場価格とそう変わらない状態になってきている。
その為、差押をした債権者側も、任意売買よりも競売で処分した方が、
高値で処分した方がより多く回収できるため、任意売買に応じないケースが増えている。
もう一つの問題は時間だ。
差押を受けると、競売まで3ヶ月から4ヶ月程度しか時間が無い。
この間に債権者との交渉や、依頼を受けた不動産に客付けをしなければならない。
相当迅速にやらないと、競売に落ちてしまうのだ。
景気が良い時ならば客は直ぐに見つかるだろうが、
不景気では余程割安でなければ客は見つからない。
任意売買を引き受ける不動産業者の方も、単に任意売買を受けて仲介で売る事は、
手間暇が掛かり、旨みのある仕事では無い。
任売物件を引き受けて客付けをしても、不動産仲介手数料は法律で決まっている。
ではなぜ不動産業者は任売物件を扱うのか。
それは時折、掘り出し物の物件があるからだ。
思いがけず債権額が低くて、割安だった場合、不動産業者がそれを買い取ってしまうのだ。
そうすれば安く仕入れて高く売れ、利益を沢山得る事ができる。
こうして日頃手間暇が掛かる分、埋め合わせをしているのだ。
実は今日、任意売買の相談に人が来る事になっている。
事前に聞いている話では、ちょっとむずかしい状況だ。あまりに債権額が多すぎる。
物件も新しいため、相当安くしないと新築と競合してしまう。
しかし安い価格設定では、債権者が損切りに応じない。多分競売で処分すると言うだろう。
引き受けて動いても無駄足になるだろう。
まぁ一応話を聞いて、どうするか決めようと思う。しかし多分ダメだと思う。
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