勝手にぶつぶつ
最近任売の仕事が少ない
無いことは無いのだけれど、依頼を受けて債権者の金融機関に問い合わせると、
抹消金額が随分高い事を言う。
とてもじゃ無いが売れる金額では無いから諦めている状態。
債権者の金融機関としては、任売よりも競売の方が高く売れるから、競売で売るとの事。
確かに最近驚くような金額で不動産業者が落札してゆく。
その金額で落としてどうやって商売していゆくのか不思議だった。
今日仲間の業者と話をしていたらその理由が分かった。
競売物件を高値で落札してゆく業者は、既に買主が決まっているからだ。
客付け買取をしているのだ。
だから驚く様な高値でも平気で落札してゆく。
予め客を持っていて、配当要求が出ると顧客に物件を紹介して購入金額を決める。
業者はそこから自分の利益を差引いた金額で入札する。
既に買い手が決っているから、利益は100万でも200万でも構わない。
だから驚くような高値で落札し、2位との差がぶっちぎりなのだ。
以前は1万円の差とかヘタすると数百円の差で競い合う事があったが、
高値落札されるものはぶっちぎりに違うのだ。
そのような事で高値落札される事があるので、債権者の金融機関は高値落札を期待して
任売で売る事を嫌がっている様なのだ。
まぁ債権物件だから債権者が決める事で、こちらとしては何も言えない。
いくら債務者が任売をのぞんでも、債権者が抹消金額を高く望んだらどうにもならない。
最終的には競売に落ちる。
何ともどうする事も出来ない状況になっている。
専任取引主任士が居ない不動産屋
そいつが居た会社は、複数のグループ会社ある会社で、販売会社の店長を勤めていた。
社長は複数回マルサが入って代表から代表権の無い会長に収まっているが、
実質上のワンマン経営だ。ハッキリ言ってブラック企業だ。
グループ会社の社長は雇われ社長で、会社の借入の連帯保証人にもなっている。
退職した奴は、会長から販売会社の社長になれと言われて、危機感を感じて辞めた。
実際、そのグループ会社の決算は粉飾決算で、キャッシュフローも悪化していきているとの事。
不動産会社は、本店や支店に必ずひとり専任取引主任士が居なければならないと法律で決められている。
専任取引主任士だからその事務所に常勤していなければならないのだが、
なんと専任取引主任士が常勤ではないのだそうだ。
各事務所に専任取引主任士として登録はされているものの、実際は他の支店の所属だったり、
グループの別会社所属だったりしているのだそうだ。
契約の時は、契約した支店の取引主任者や、たの支店や他のグループ会社の取引主任士が来て
重要事項の説明をするのだそうだ。
またそいつが所属していた会社の不動産免許は、国土交通省大臣免許なんだが、
実際には都内の支店は営業していないとの事。
とにかく無茶苦茶な会社で、先述した通り、経営は良いとは言えない状態で、
社員も素人に毛の生えた程度のレベルで、トラブルが絶えない。
昨年は会社の飲み会で死者が出たが、うやむやに納めたらしい。
売上の一部は会長に吸い取られ、経営が良くなくても会長の資産だけは莫大になっており、
会社が破綻しても、会長は困らないのだそうだ。
まぁそんな会社だから、専任取引主任士がいい加減でも平気なのだな。
それにしても今どき珍しいほどいい加減な会社だ。
致命的仕入れ
昨日用事のついでにその物件を見てきたんだが、ありゃ売れない。
そもそもその物件は甘い言葉に乗せられて仕入れてしまった様で、とても現状では売れない。
国道に面したその物件は、敷地延長では無いものの、間口が狭く細長いL字型で、
隣の数軒を地上げできれば角地になって纏まる。
当初角地も地上げできるとの事で仕入れてしまった様だが、どうやら地上げはできそうも無いらしい。
確かに隣地が地上げできれば間口がぐっと広がり、角地にもなってそこそこの土地になるが、
現状では中途半端でしかもL字のウナギの寝床だから価値がぐっと下がる。
仕入れをした不動産会社の社長は営業上がりで、主に住宅を扱っているが、時々不可解な仕入れをする。
以前もとんでもない物件を仕入れたが、時間は掛かったが奇跡的に売れた。
しかし今回の物件は都内の物件で軽く億を超えるから、企業規模から言ったらかなり重い物件だ。
税金と金利だけでもそれなりに重い。しかも直ぐに売れるような物件では無い。
処分価格で売らないと、会社の屋台骨を揺らがす事に成る可能性大だ。
実際マンション業者に声を掛けたが玉砕。建売は全然価格が合わない。
テナントビルを建てる様な場所では無い。
使い道が無い。
どうやら売れ残り物件をうまい具合に乗せられて仕入れてしまった様で、
損切りするにも金額がでかいから、果たして負担できるかどうか。
この不動産会社、昨年辺りから自社物件の売れ行きが芳しくない。
分譲地は中々売れず、やっと一区画売れたと思ったら、営業マンの対応がまずく裁判手前まで揉めた。
もう一区画はローンが通らずパンク。その他の区画はまだ客が付いていない。
市内の分譲地は、奇跡的に半分売れたが、残りはさっぱり。
仕入れを期待していた物件は話が纏まらず仕入れできなかった。
安い物件の売却とと仲介で食いつないでいるが、運転資金が厳しくなっているのは確かだ。
実はその会社に勤めている知人が、愛想を尽かしてウチに来たいと言っている。
相当内情は厳しくなって来ている様だ。
件の物件が奇跡的に処分できないと、かなり厳しい状況に陥りそうだ。
一応ウチでもあちこちに声を掛けているが返答は芳しくない。
さて、この先どうなる事やら。
事故物件売り出し
対象の物件は孤独死があった物件で、
発見された時はあまり良い状態では無かった。
実はこの物件については詳しいことを知り得る立場だったので、状況を良く知っている。
それにちょとだけ関わっている。
その物件の広告が入っていた。
チラシを見たが、どこにもその旨か書いてない。
書いてない事自体は違法では無い。
心理的瑕疵には、個人差がある。
その線をどこで引っ張るかがむずかしいのだ。
孤独死があった事を知っていたのなら、契約はしなかったと言う事になれば、
これは瑕疵物件になり、業者は「重要な事項の説明違反」となる。
しかし中には、そんなのは全然問題にしない人が居る。
以前そんな人が居た。職業を聞いたら看護士だった。
その人は、物件が安く買えたと喜んでいたw。
日頃人の死が日常にあるから全然問題にしない様だ。
チラシに「心理的瑕疵あり」と最初から書いてあったら売れないし、
でもどこかで説明をしなければならないし、
病死は瑕疵物件では無いとも言われているし、
心理的瑕疵とみなされるのは、あくまでも感覚の問題であり結果論でもあるから、
販売する不動産業者にとっては、難しい判断と成る。
実は自殺があった物件が有るんだが、そこは外国人が買って、今は賃貸として貸している。
多分入居者は何も知らない。もう二三年経つから何も無いのだろう。
近所にも孤独死があった物件があったんだが、今は若夫婦が住んでいて、子供も生まれている。
こちらも今のところ何も無い。
悲惨な状態で見つかった物件があったが、そこには不動産営業マンが買って住んでいる。
その営業マンを知っているが、本人は多分そこで孤独死があった事は知らないと思う。
もちろん現在の所、何もない。
東京の下町なんかは、関東大震災や空襲で何万人も死んでいる
瑕疵地域みたいなものだ。
心理的瑕疵というのは本当に難しいもので、あくまでも買い手の感情に左右される。
今回の物件もどこかの誰かが買うのだろう。誰かが買ってくれなきゃ、経済は回らない。
人間は必ず死ぬのだから仕方ない。
ただ、その時に、家族が居るか、一人で死ぬかの違いだけだ。
増える孤独死案件
ある分譲集合住宅で孤独死があった。
部屋は家族の手配で特殊清掃が行われた。
ウチに依頼があったのは、孤独死があった部屋から下までの階段を消毒してもらいたいと言うものだ。
消毒と言っても、別に階段が汚れている訳では無い。
聞けば、住人の気持ちの問題なのだそうだ。
なので噴霧器で消毒薬を噴霧する事にした。
ウチの会社にも、毎年とは言わないものの、一年おきぐらいに孤独死の案件が入ってくる。
発見が早ければ問題ないが、悲惨な状態で発見された物件は事故扱いになってしまう。
特に気温が高い時期は遺体の腐敗が早い。
実はウチの事務所の隣も、15年以上前になるが孤独死があった。
死後三日程度経っていたが、秋だったので遺体の損傷は殆ど無く、特殊清掃の必要も無かった様だ。
知らない間に売りに出され、今は若夫婦が居住している。何の問題も無い様だ。
老人の一人暮らしが増えていて、
足腰が弱った老人は外出もしないから亡くなって居ても外からは分からない。
ヘルパーさんが来ていたり、新聞を取っていたりすれば発見が早いが、
そうで無い場合は、発見が遅れる事が多い。
特にマンションは、外との接点が玄関だけだから、玄関ドアが固く閉ざされていた場合には分からない。
マンションで二世帯が居住する事は物理的に不可能だ。
だから近年老夫婦世帯が増えている。子供世帯は違う所に居を構えている。
やがて伴侶を失い、老人の一人世帯になり、他に知られる事も無く鬼籍に入ることになる。
孤独死を防ぐ様々方策が講じられているが、中々広まっていない様だ。
団塊の世代が老人世代に入り、今後ますます孤独死案件が増えるのだろう。
戸建てなら建物を取り壊して、土地で売却する事もできるが、
分譲マンションの場合は、そういう訳にも行かない。
孤独死物件は、安く売りに出されて転売さ入れるか、賃貸住宅にされる事が多い。
また一時賃貸にした後に売却される事もある。
賃貸と言っても、現在はその旨告知しなければならないから、
家族や親戚名義で、実際には住まなくても賃貸したように見せかけた後、
次の賃借人に貸すか、売却される。
遺族が物件を相続放棄するケースも少なくない。
相続放棄された物件は、やがて公売物件となって誰かが落札する。
消毒はウチのメンバーが誰もやりたがらないから、仕方なく俺がやる事になった。
数珠を持って、粗塩で清めた上で執り行うことにする。
何も災いが起きませんように。