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ぼんぼんのおかげで話ぐちゃぐちゃ

ある業者との取引の話。
ウチの会社はある不動産会社とつきあいがある。
その会社の社長は、資産家のぼんぼんで、元々不動産管理をしている会社にいた。
そして10年ほど前に独立した。

不動産管理が主だから、売買はあまり得意じゃない。
そこで、ウチが売買の方を担っているという関係。

ウチは売買はもちろんだが、開発や法的にややこしい物件に強い。
その業者と付き合うきっかけになったのも、ややこしい物件が縁だった。

その業者は、悪いブローカーと不動産屋に騙されて、
面倒くさい手続きが必要な物件を買ってしまった。
本来であれば、許認可を取った後に決済するんがだが、なまじ現金を持っているから、
許可を取る前に決済してしまった。

所が、その話を持ち込んだブローカーも不動産屋も許認可関係の事に疎い。
買主の業者はもっと疎い。
その結果、中々プロジェクトが進まず、内に救助要請が来たという訳だ。

俺はまず、ぐちゃぐちゃに絡まった糸を解きほぐす事からはじめた。
そして全容が見えた所で、整理して問題解決に手を付けた。

そうして最初からアヤがついた物件というのは、その後もトラブルが続くもので、
客をつけたはいいが、売主が何でも客の言う事を聞いてしまい、今トラブルになっている。
更に、残りの土地も直接地主から買い入れようとして、逆に地主を怒らせてしまって、
これまた問題が起きている。

全てウチに任せてくれれば、何の問題も無くスムーズに事が運ぶのに、
ウチのやりかたを、意味を理解せずに真似してやって、
トラブルを起こしてどうにもならなくなり、
それをまたウチで問題解決してくれと泣きを入れてきている。

俺が独立する前に勤めていた不動産会社の社長もおぼっちゃまで、
実務はなんにもできず、見よう見まねで手を付けてぐちゃぐちゃにして、
その後始末をいつも俺がしていた。件の社長もまるっきり同じだ。

本来なら、とっくに決済できているのに、やっと今月ひとり決済ができそうだ。
残りの二人については、ぐちゃぐちゃにしてしまったから、目処が経っていない。

ウチは最初から最後まで他人の尻拭いをしている。

これで終わったら話にならないから、どこか現場抱かせて金儲けさせてもらう。
次は最初から最後までウチで動いて、「あんたはカネだけだしてりゃいいよ。」にする。
そうしないと仕事量が二倍にも三倍にもなってしまう。
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詐欺ブローカー

俺に近づいてきた詐欺ブローカーが居る。
そいつは都内の国有地払い下げの話を持ち込んできた。

話を聞くと、素人なら騙されてしまう様な事だったが、
あちこちにおかしな事があったから、直ぐに気がついた。

23区内なのに、提示している価格が異様に低い。いくらなんでも低すぎる。
それに、公務員官舎の払い下げなのに、随意契約で不動産屋が仲介に入ると言う。
そんな事はあり得ない。

そいつが言うには、その物件はまだ情報が出ておらず、もう間もなく発表になるとの事だ。
なので、あと数日待って、財務省に確認してみようと思っている。
しかしその発表日、土曜日だ。
土曜は役所の公式な窓口は休みだ。休みに発表などしない。

買主も決まっていて、来月都内の喫茶店で話をすると言っていたが、
買主は一部上場のデベロッパーで、そんな買主が喫茶店で話をするか?
業者か、デベロッパーの事務所で話をするだだろう、普通。
何で喫茶店で話をするんだ?

また物件以外にもそいつは嘘を付いている。
そいつの妹が、ある警察署の署長をやっているとの事だ。
そんな事はあり得ないだろうと思い、その警察署に確認の電話をしてみたら、
案の定、そんな奴は居ないとの事だったw。

詐欺師というのは、ストレートに物事を持って来ない。
まず、小さな成功体験を鴨にさせる。

例えば、ターゲットから100万円をせしめようした時、
最初に数千円から数万円の金を借りて直ぐに返す。
それを何度か繰り返し信用を付けた後、100万円を借りてドロンする。

件のブローカーも、その前に別件でマンションの仲介の話を持ち込んで来たんだが、
俺が
「都内の払い下げの件で、介入する仲介業者に合わせろ。」
と言ったら言葉に詰まって、それ以来電話が来なくなった。

ほらみろ。案の定だ。

しかし奴はどうやって金をせしめようとしたのだ?
買主から手付金を巻き上げようとしていたのか?
俺から金を巻き上げようとしたのか?

件の取引では、ウチは仲介と建物の紹介で入ると言っていた。
だけど、仲介だから支払いは無い。受け取るだけだ。ウチから取る事はできない。
であれば、ウチは役者のひとりで、買主から巻き上げようとしていたのか?
買主はデベロッパーだと言っていたが、もしかしたら違うのかも知れない。
デベロッパーはそんな話には乗らない。
直前になって、買主が代わったとして、どこかの素人を鴨にしようとしていたのかも知れない。
そして素人鴨から手付金を巻き上げようとしていたのかも知れない。

まぁどっちみちウチが関わる事は無い。
一応財務省の発表だと言う日を待って、その時に奴が言う物件の情報が無かったら、
財務省に連絡しておいてやろう。そうすれば財務省は文書やサイトで警鐘を鳴らすだろうから。

それにしても詐欺ブローカー。そんな事してもお縄になるのが関の山だぞ。
まぁ世の中的には、一度お縄になった方が良いのだけれどな。


負動産

売るに売れない物件がある。
売れない訳では無い。二束三文じゃないと売れないと言う物件だ。

その物件は一応市街化区域になるんだが、水路の近くで地盤が極端に悪い。
40年近く前に分譲された建売物件なんだが、
地盤が下がってしまって、杭が打ってあるという物の、若干建物が水路側に折れている。
敷地を分けるコンクリートブロックはぐにゃぐにゃに沈下している。
周囲の住宅を見回しても、古い建物は同様の有様だ。

駅には歩いて15分ぐらいで行ける。正常な物件なら更地で、
エンドの価格で1200~1400万ぐらいで売れるが、
この物件の場合、建物を取り壊さなければならず、更に杭を抜かなくてはならない。
この杭を抜くのが案外難儀で、古い建物だから杭がどこにあるか分からない。

杭を抜くために、ただでさえ弱い地盤をぐちゃぐちゃにしてしまう。
再建築するには、十分な地盤改良が必要で、その費用もバカにならない。

そんな事があって、この物件の業者買取価格はせいぜい500万円程度だ。
現状ではエンドには売れないから、業者に売るしかない。

しかし売主は、その価格では納得できないのだな。

ちょっと前に、15坪の土地に、違法の3階建ての建物を買い取ってくれと話が来た。
当然断った。
15坪では車が入らない。車が入らないと首都圏郊外では売れない。
それに違法建築は住宅ローンが通らない。現金で買ってくれる客はそうはいない。
建物を取り壊して更地で売るにしても、15坪の土地を買ってくれる人はそうは居ない。
せいぜい隣の家の人が買ってくれれば御の字だ。

それでも値段を付けてくれと言われた。冗談じゃない、金くれてもいらない。
それでも値段だけでも付けてくれというから、100万円と答えておいた。
それを正直に売主に伝えた所、売主は怒って帰ってしまったそうなw。
事実だからしょうがない。

二束三文になってしまう物件は他にもある。郊外の駅から離れた古いマンションもそうだ。
地価が安くなったから、駅から離れなくても物件が買える。
だからわざわざ駅から離れたマンションなんて買わない。

湯沢あたりのリゾートマンションもそうだ。
当時税金対策で、金持ちがこぞって買った様だが、いまじゃ売れない。
中には10万円なんてのもあるが、管理費が毎月10万ぐらい掛かるらしいから、
そんなの買う奴居ない。

バブルの時は、クズ物件でもそれなりに値段が付いて、予算の無い客が買ったが、
バブル崩壊、デフレとなった今、クズ物件の更に中古は売れない。値段が付かない物もある。
そういう物件を持っている人は、ババを引いたのと同じで、一生持ち続けるしかない。

そういった物件を相続する相続人も少ない。
それでも利用価値があれば良いが、ない場合は相続放棄される事が多い。

不動産は、当たり前の物件を、当たり前の価格で買うのが一番間違えなく、
欲を出してやすい物件を買おうなどと思うと、手練の営業マンにやられて、
負動産を掴まされる事になるのだ。


狭くて大変

違法建築に対して、以前は銀行の住宅ローンが使えた。今はダメだ。

15年ぐらい前に建築された建物を扱う事になったんだが、小屋裏部屋が、完全に3階になっている。
この建物は、ツーバイフォーで建築されていて、ツーバイフォーは構造上小屋裏に広い空間が取りやすく、
その為、面積、高さ共に限度いっぱいまで広げられているため、3階建の建物として登記されているのだ。

所がそれだと容積率オーバーで、事実上売れない。
そこで、階段を上がった所に枠を組んでボードを貼って箱をかぶせたような形にしてしまおうという訳だ。

階段は収納階段で、上がった所に1坪程度の面積で、高さ1.4m以下の箱を作るんだが、
話だけ聞けば簡単そうなんだが、これが言うとやるとでは大違いの大変さ。

ます箱なんだが、簡単な物は法務局が認めない。しかも現地調査がある。
だからそれなりにしっかり作らなければならない。
ツーバイフォー材で枠を組んで、9.5mmのボードを張るんだが、
予めスペースが無いのは承知していたから、予め資材置き場で刻んで持って行ったんだが、
スペースが無いから、ビスを打つのに一苦労。場所によってビスが打てないから、
横から打ったり、下から打ったり斜めに打ったりだ。
枠に予めボードを張ってしまうと、各壁がこれまたスペースが無いから連結できない。
だから枠を組んでからボードを張るんだが、これまたスペースが無くて一苦労。

収納階段を上がった周りには、転落防止のために腰壁があって、こいつか曲者で、
ボードが入らなかったり、手が入らなかったりでこれまた一苦労。
さらに材がねじれたり、反ったり、垂れたりで、寸法通りに刻んでいるのに収まらない。
スペースが無いから、普段簡単にできる事ができない。ひとつの事をやるのに、その前に物をどかしたり、
道具を取りに行ったり、10倍手間が掛かる。

散々苦労した挙句、一日では終わらず、また今日も格闘する事になっている。
厳しい状況は予想していたが、その5倍は大変で、面積の割に手間はとんでもなく大変。
それなりに工賃を頂いて、その後売却をさせてもらうから、とにかくやらねばならない。

工事が終わったら、土地家屋調査士に依頼して、表示変更登記を行う。
変更登記が終わったら、再び箱を分解して元に戻すという寸法。
買った人が再び売る時は知らないww。




調べない不動産屋

今に始まった事では無いんだが、物件を調べない不動産屋が多い。

俺は不動産業界に入って一番最初に放り込まれたのが「仕入・開発部」だった。
そこで不動産の基礎を徹底的に叩き込まれた。
建売屋は、仕入れで失敗すると後で挽回できない。場合によっては、会社の屋台骨が揺らぐことになる。
だから徹底的に調査する事を叩きこまれた。

それは今でも習慣着いていて、売る時も、買う時も、仲介の時も、立場がどんな状態でも、
価格がいくらであろうとも、取引する物件は徹底的に調べる。
だからこれまでトラブルを起こした事は一度も無い。そんなの当たり前だと思っていた。

所がいい加減な業者が如何に多い事か。大手の会社でもそうだ。
他の業者が重説を作ったからそれで良いと思っている奴が多い。
今取引している業者もそうだ。全然調べない。

今手がけている取引で、以前取引した時の契約書と重説を資料としてコピーを貰ったんだが、
間違えだからけだ。
問題が起きなかったからよかったものの、調べずに、もしくは調べ方が浅くて、
間違えだらけの重説を作成した事が伺い知れた。

今扱っている物件は、ウチが専任で、買主は業者だ。ちなみに買主にはブローカーが付いている。
俺がもし買主の立場だったら、仕入れ物件は徹底的に調べる。
所が買主側は全然調べない。恐らく調べる能力が無いのだろう。

もし取引に間違えがあったら、ブローカーは逃げてしまえば良いが、
正規業者のウチは責任を取らねばならない。
買主にしても損害を被る可能性だってある。だから買主の立場でも俺は徹底的に調べる。
人間誰だって完璧じゃないから、複数で調べた方が、間違えを防止できるし、損害を防ぐ事ができる。
それなのにしない。

物件は徹底的に調べろ!と叩きこまれた俺にとっては信じられない。
数千万円からする仕入れをするのに、良くもまぁ調べないで平気なものだと感心する。
怖くないのか、それとも他業者を信頼しているのか、調査能力が無いのか、俺には信じられない。

実際物を知らないで扱った物件でトラブルを起こし、今裁判になっている奴が居る。
ちゃんと調査していれば未然にトラブルを防ぐ事ができたのに、
恐らく裁判をやってもどうにもならないと思われる。

物件を扱っていたのはブローカーで、俺はそのブローカーを知っているが、
資格も持っていない、かなりいい加減なブローカーだ。今は経済的に詰まってきている。
買った業者も多額の資金が寝てしまう事になるから大損害だ。
ブローカーに損害賠償請求しても、賠償する資力は無い。相手方にも無い。
場合によっては致命的になるやも知れぬ。

物件を徹底的に調べるのは、不動産屋として当たり前。
それが出来ない不動産屋が如何に多い事か。
契約優先、利益優先の風潮がこういう事を起こすのだろう。嘆かわしい事だ。

せめてウチは事故を起こさないように、今後もこれまでと変わらず、
物件調査は徹底的にやってゆく。