勝手にぶつぶつ
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ
俺の会社の事務所は、300世帯近くある分譲の集合住宅の一室だ。
俺個人が所有者だから、俺は管理組合の組合員でもある。
組合の理事の仕事が10年に一度ぐらい回ってくる。一昨年は俺にその番が来て、理事を勤めた。
300世帯近くもあるから、管理事務所には管理業務を委託して、
女性二人と男性一人が常に管理事務所に詰めていて、様々な業務をこなしてもらっている。
俺が理事を拝命していた時の理事長と言う人が、ちょっとクセのある人で、
それまで理事長を数年に渡って務めていた。
クセがある人だから、事務員達とも随分ぶつかって、
女性事務員二人が辞めたいと申し出た事件があった事を、
理事の役目を満了した時に行われた席で初めて聞いた。
そんな事があったのを知らなかった俺は、
事務員さん達に時折お茶菓子なんかの差し入れをしたりして上手くやっていた。
理事長に頭に来ていた事務員達は、理事長から業務を言いた渡されても、
規則に則った業務しかやらなかった。
順法闘争と言う奴だ。だから余計に理事長とこじれた。
一方俺の方は、何も言わなくても仕事をやってくれたり、
この間来客用の駐車場を借りようと管理事務所に行ったら、
細かいのが無くて50円足りなかったんだが、
女性の事務員さんが「私が出しておきます。」と言って負担してくれた。
人を使う、動かすのは鞭だけではダメだ。
かの山本五十六が言った通り、
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」
だ。
事務員達は、決して怠けたりズルしたりしている訳ではない。
少ない賃金でも、一所懸命業務に当たっている。
それを頭ごなしに言うだけでは、反発するだけだ。
たった数百円のお茶菓子で気心が知れて、物事がスムーズに動く。
今は理事を退任したが、今でも時折お茶菓子の差し入れをしている。
そうしておけば何かあった時に便宜を図ってくれる。
人間関係なんてこんな物で、お互いに尊重しあって上手く付き合えば、
何の問題も起こらないのだ。
山本五十六の言葉には続きがあって、
「話し合い、耳を傾け承認し、任せてやらねば、人は育たず。」
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」
と言う続きがある。
正にその通りだ。
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