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境界杭のもめ事

土地の境界については、度々もめ事が起きる。
だから最近の取引は、確定測量して、地籍更生した後に取引をする事が、
半ば慣習化している。

最近の開発現場であれば、確定測量もしてるし、境界杭やプレートが入っている。
もちろん、造成や建築の際には境界の確認もする。
そして物件を引き渡す前に、売主と買主で境界の確認もする。

所が、それでも問題は起きるのだ。

ウチが数年前に仲介した建売現場を買った客から、境界杭が入っていないとクレームが来た。

売主はある大手建売屋。買主は素人のおばちゃん。
この現場を担当した売主の担当は、かなりいい加減な奴。

境界杭が見当たらないのは、外構工事屋が、境界杭を出さないで、
ブロックやコンクリートを施工してしまったためだ。
普通外構屋は、境界を明示する様に施工する。
所が、建売屋に入っている工事屋は、安い単価で仕事させられているから、
手の込んだ細かい仕事などしない。
そんな事やっていたら、手間が掛かってただでさえ少ない利益が更に減ってしまうからだ。

だから境界杭があろうが無かろうが、ガンガン施工してしまう。
その結果、境界杭がブロックやコンクリートの下に埋まってしまうと言う事になる。

一応クレームを売主の建売屋に伝えたが、建売屋はめんどうくさくてやりたがっていなかった。
更に俺は建売屋の担当に、直接客に連絡を入れる様に伝え、
建売屋の担当もその様にすると返答した。
仲介業者のウチとしては、それで義務を果たしたと思った。

しばらくしたら、今度は買主のご亭主から電話が来た。
ご亭主は、ウチに対して杭を入れろと言って来た。
どうやら売主は杭を入れる事を拒んだ様だ。

境界杭の設置は売主の責任で、仲介業者の責任ではない。
しかしご亭主は、仲介業者にも責任があるのだから、お前が入れろという訳だ。
いやいや、ウチは取引を仲介しただけで、瑕疵については責任は負いませんよ。
ただし、売主に対して義務を果たすように伝える事はしますよ。
と何度も説明して、やっと電話を切った。

その後直ぐに売主に再度連絡をして、杭を入れる様にと言っていると伝えた。

更にその後買主のご亭主から電話が来た。
売主は、杭は入れるけれど、費用は買主負担だと言われた。
仲介業者にも責任があるのだから、お前が費用負担せよという訳だ。

冗談じゃない。杭を入れるのは、売主の義務だ。いうならば、売主の瑕疵だ。
売主に対して埒があかないのであれば、役所を教えるから、
そちらから指導してもうらう様にと提案したら買主は
「事を荒げたくない。」
と言う。
そんな事言ったら問題は解決しない。
結局「じゃぁいい。」という事で電話が切れた。

売主のいい加減な担当者、テキトーな施工が原因で、こういうトラブルが起きる。
その当時の売主の現場担当者は、既に辞めて居ない。
その担当者は、俺の知り合いだから電話して境界の立ち合いをしたかどうか聞いたら、
「境界の立ち合いはしたけれど、境界石の確認まではしていない。このブロックは芯積みですよとか、境界線は、このブロックまでですよ。と言った程度の確認だった。」
と言っていた。

正直言って、建売屋の対応が悪い。
契約書に境界の明示をする事と書いてあるのだから、その様にちゃんとして置くべきだ。
だからこんな事が起きるのだ。
後を引き継いだ担当者が、何とかするのだろうけど、大きな会社だから、
現場の判断だけでは動けないし、やりたがらないから、しばらく揉めるかも知れない。
ちゃんと境界を入れなおそうと思ったら、測量屋に頼んで入れなければならず、
それなりに費用が掛かる。だから嫌がっている。

この件、買主側に事情がある事を知っている。この物件を売りに出したのだ。
売るにあたって、今度は所有者である買主に境界の明示義務がある。
売主は資金に困って家を売るのだから、余計な出費はしたくない。
さらに早急に境界を明示しなければならないから、
役所を入れてちんたらやってられない。
だから、仲介業者であるウチに費用を出させようとしたのだ。

そうは問屋が卸さない。
売主は売却して急いでいる事情を一切ウチに言わない。
ウチとすれば、役所を入れれば、時間は掛かるが問題は解決できる。
ウチとしては、そうしてやれば問題は解決し義務は果たせる。
急いで境界の明示をするのは、買主の事情でウチには関係ない。

中古を扱っていると、こんな事は良くある事だ。
この中古を取り扱った不動産屋もまぬけで、
測量図面を参照して、境界にプレートを置いて写真撮って、
隣地の人にサインしてもらえばいい。
それで境界を明示した事にすれば、問題は解決する。

そういう小技を使いたくないのか、そういう技を知らないのか、
ちょっとした事をやってやれば事が済み、それは客の利益を守る事にもなる。
境界石やプレートなんか、何かの拍子に動くんだから、あくまでも目安で、
境界の根拠は、測量した座標なんだから、そんなに目くじら立てる程の事は無い。
今回、ウチが売却を任された訳ではないから、そこまでやらないし教えない。
もちろんウチに売却を任されたなら、こんな事は何の問題にもならない。
こういう所が、業者の力量という所だ。

誰が一番悪いかと言えば、境界をちゃんと明示していない売主が悪い。
次に悪いのは、売却を任された業者。ちょっと手間を掛ければ何の問題も無い。
現場立ち合いの時に、買主は説明を受けて一応境界を確認している。
ここは買主の弱い所。

ウチは役所を使って時間を掛ければ問題は解決できる。
しかしそれは買主の事情によってできないという。
また隣地の所有者に立ち合いを願ってサイン貰えば解決する。
でもウチが取引を任された訳じゃないから、そこまでしないし教えない。

この件、事実上、買主の負けだ。
これ以上、どうする事もできない。

調べてみたらこの客、
取引の時に、ウチは売主からだけ仲介手数料をもらって、
客が資金的に厳しかったので、
客から仲介手数料は貰っていなかった。

それなのに「仲介業者がカネを出せ!」などと
全くふざけていやがる。
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