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四十九日の挨拶

若葉がいぶき始めた頃、義父が亡くなった。
晩年は病魔に侵され、看病むなしく天寿を全うした。

俺は義父とはこの10年、疎遠になっていた。
詳しい事は書けないが、簡単に言えば考えの相違でぶつかっていた。
ある事があって、
「この人は、俺の事を家族だと思っていないんだな。」
と分かったからで、その後俺が避けていた。

しかし今になって、義父の立場に立って考えてみれば、
義父には悪意が無い事が理解できる。
しかし当時俺は、義父の考えを受け入れる事ができなかった。

葬儀の時、義母に頼まれて、親族代表の挨拶を引き受けた。
世辞麗句をならべ、そつなく挨拶をしたが、正直言うと心は籠っていなかった。

あれから一ヶ月経って、義父の想いを少しだけだが理解できる様になった。
決して俺に対して、悪意は無かったのだと。
むしろ謝罪していたのでは無いかと思える様になった。

再来週四十九日法要が営まれる。
義母から、四十九日も親族代表のあいさつをしてくれないかと依頼されたので引き受けた。

四十九日のあいさつでは、心が籠った挨拶をして、義父をこころから見送ろうと思う。
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