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入札の不成立

公共工事の入札の不成立があちこちで起っている。

これは、役所が提示する工事価格があまりに低くて、請ける方の採算が合わないからだ。

数年前に、埼玉県のある市では、公共工事の価格を一律二割カットするという愚かな事をやった。

その結果、誰も入札しなくなった。


今建材と人件費が上がっている。しかし、役所は未だデフレ不況の時の値段だ。

請ける方としては、採算が合わないし、職人が足りない。

団塊の世代の職人が、60歳ぐらいになって、景気も悪くなったから廃業してしまった職人が沢山いる。

ウチでいつもお願いしていた水道屋もそうだ。一昨年完全に廃業してしまった。


昨年10ー12月のGDPが予想の半分以下という報道があったが、

民間はまだそんなに元気が無い。だから公共事業を動かすしか無いんだが、

その公共事業の入札の不成立が多発して工事が行われないから、それも影響があると思う。

東日本大震災の復興も嬉々として進まないし、先日の大雪でも、建設業者が減ってしまったから、

道路の雪かきも中々進まない。


災害が起きた時に一番先に現場に駆けつけるのは、自衛隊では無く、地元の建設業者だ。

これは国交省によって纏められた建設業者の部隊があって、

何かあったら、一番最初に現場に駆けつけて復旧にあたる事になっているのだ。

東日本大震災の時もそうだった。

現場にいち早く駆けつけた建設業者の中には、

家族が津波で行方不明になっていたり、亡くなったりしている人もいた。


彼らは瓦礫をいち早く片付けたから、

その後来た自衛隊がスムーズに被災地に入れたのだ。


建設業者が減ったのは、長引く不況で公共工事を減らしてしまった事に依る。

民主党政権末期の時の公共工事は、ピークの時の半分になってしまったぐらいだ。


建設現場で人が足りないなら、外国人労働者を入れれば良いと役人やエコノミストは言う。

奴ら机の上で物を考えているから、こういう事を言う。一度現場で働いてみたら分かる。

現場というのは、コミュニケーションがとても大事だ。段取り八分とも言う。

日本語は世界的にも難しい言語だ。その言語を十分に理解していれば良いが、

理解できていなければ、間違いや事故を起こす。

だから現場では、外国人を使うのを嫌がる。

実際先日、知り合いの解体屋が、どうしても人が足りないからと、トルコ人を使ったが、

壊してはならない壁を壊してしまい、大損害を負ってしまった事があった。


これから国土強靭化法での公共工事、オリンピックの工事、震災復興の工事、

建設業に需要があるが、それに応える人が足りない。

引退した人達を再び現場に呼び戻したり、新たな人材を確保、育てる事が重要だ。

そして役所も工事価格をいち早く見なおして、公共工事を発注して、

景気の底を支えるべきだ。



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