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負の遺産

キャンプブームってのは、
概ね20年サイクルであるらしい。
ここ数年間もキャンプブームだった様で、
でも最近、
それも下火になって来たようだ。

ブームの時の週末のキャンプ場は、
どこも満杯で、
予約も中々取れなかったそうだ。
そこで、
マイキャンプ地とすべく、
山を買う素人が出始めた。

そいつらは、
本来二束三文の山を
数百万円で購入した。
山を手放したい奴は沢山いて、
ここぞとばかり、
二束三文の山を素人に売りつけた。

買った素人は、
これで自分専用のキャンプ場が作れると、
胸を高鳴らせたが、
山はそんなに甘くないww。

状態にも寄るが、
キャンプするにはそれなりに開拓しなけりゃならない。
手作業じゃ到底できない。
草刈り機、チェーンソー、ユンボ
最低これらが無いと開拓できない。

しかも自然は凄くて、
毎年草を刈らないと、
あっという間にジャングルになる。
それに山には、虫や動物、蛇も居る。

山を買った素人は、
キャンプ場をイメージして山を購入したのだろうが、
現実は虫、蛇、藪でどうにもならない。
夏場なんか草刈りしても、
一ヶ月もすれば藪に逆戻りで、
キャンプに行っても、
まず草刈りをやらなきゃならない。
虫や蛇は容赦なく出てくる。

それでも最初の内は頑張っていたけど、
その内面倒くさくなって、
とうとう自分の山に行かなくなった。
そもそも自分の山には水やトイレは無く、
イメージしていたマイキャンプ場と、
現実の乖離が激しく、
草刈りも、虫も、蛇も嫌になって、
山を売りたいとウチに来た。

はっきり言って、
キャンプブームにうなされた素人じゃなければ、
今どき山なんか買う奴居ない。
タダでも売れない。

かくして俺は、
山の現状を説明して、
売れる可能性は限りなく低いと告げたら、
その客は肩を落として帰っていった。

どうやらそんな奴が沢山いるようだ。
山だから固定資産税は大した額では無いが、
利益を産まない土地に毎年税金を支払わなければならず、
売るに売れにずっと持ち続け、
場合によっては、
子は親の負債である山を相続しなければならない。

法改正されて、
相続登記が義務付けられたから、
所有権をうやむやにする事もできなくなったから、
代々山を持ち続けるしか無いのだ。

素人が不動産に手を出すと、
痛い目に遭う一例だ。
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