勝手にぶつぶつ

昔から不動産屋は千三屋と言われた。
千の内、本当の事はみっつしか言わないという事だ。

そういう奴が、今でも不動産業界にはいっぱいいる。
俺の知っている奴にもそうだ。そいつは嘘つきというより大ぼら吹きだな。

そいつ「物件がある。」と言っても信用してはいけない。大概無い。
そいつの事を信用して、物件情報を送ってもらおうとしても、いつまで経っても送ってこない。
催促すると、あーだ、こーだと言い訳をする。最初から無いのだ。

またそいつは、大層な法螺を吹く。あまりに大層なので、そいつの事を知らない人は信用してしまう。そいつの事を知っている人は「ああ、また法螺を吹いてるな。」と直ぐに気が付く。

そいつの大法螺に乗せられて裁判になっている不動産屋が居る。提訴してからもうじき三年になるが、まだ決着が着いていない。大法螺を吹いた本人は原告側なんだが、尋問でしゃべる事をあらかじめ打ち合わせしていても、覚えて来ないそうで、しかも都合が悪くなると逃げ回り、原告も困っている。

当然そんな奴は信用が無くて、何か言ってきても話半分しか聞かない。そいつとまともに付き合って、ドツボにはまった奴を何人も知っている。ある奴はそいつと独立するつもりで、勤務先を辞めてしまい、再就職ができず今はブローカーに成り下がっている。

俺は法螺吹きを上手く使って儲けさせてもらった。千三屋だから、みっつぐらいは本当の話がある。そのみっつを頂いたという訳だ。

そいつとは、付かず離れずに上手く利用している。本当の話が来たら、そいつに主導権を与えず、こっちで全て仕切る。そうしないと話がまとまらないからだ。
そいつは業歴は長いが、知識は丸でない。右から左へ話を持って行く事と、報酬をちょろまかす事には長けている。

今そいつにある案件について声を掛けてやったところ、「物件がある。」と言ったが、それから一週間以上経っても物件を持ってこない。つまり物件など無いという事だｗ。
まぁ、最初から期待していないけどな。