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寝た子を起こすあほ

不動産取引の話なんだが、
わざわざ取引のハードルを上げるあほが居た。
ハードルを上げたあほは業歴30年以上だが宅建取引士は持っていない
ベテラン営業マン。
ベテランと言っても不動産に関する法律やその背景については
ちゃんと理解していない中途半端だ。

問題の取引は土地の売買で、物件の道路付けは角地だった。
一方の道路は二項道路で、セットバック分の所有者は本地と同じだ。
もう一方は位置指定道路(私道)で所有権持分を持っていなかった。
セットバック分は位置指定道路に接していた。

セットバック持分がある角地の売買で、
物件引渡しまでにセットバック分を
行政に採納する事を停止条件にした契約にしてしまった。

その結果どうなったかというと、
行政に採納する条件として、
セットバック分を測量しなければならないんだが、
その為にはセットバック分に接する位置指定道路の所有者全員から
ハンコをもらわなければいけない。
位置指定道路の所有者は15人にも及ぶ。

ハンコをもらう作業が難儀しているのだ。

すんなりハンコをくれる人が過半数。
ごねる人が数人、
行方不明二人、
遠隔地一人。

とにかく全員のハンコをもらわない事には測量が完了せず、
測量が完了しないと行政へ採納できない。
行政に採納できないと契約は破棄となる。

あほの営業マンは
買主への親切心でセットバック分を行政へ採納する事を条件としてしまったんだが、
最初から俺がこの事を知って居れば、
セットバック分も本地に付けて
現状の権利関係のまま買主に引き渡していた。
面倒くさい事が起きる事が予想されるからだ。

本地の土地の所有者が、
セットバック分の所有権を持っていれば建築確認は取得できるし、
セットバック分は公道だから非課税で
持っていても問題は無い。
もちろん位置指定道路からも建築確認は取得できる。
位置指定道路は使わなくても問題は無いので、
権利を持っていなくても何ら問題は無い。
もしもセットバック分を行政に採納したければ、
購入した人が行政に採納手続きをすれば良い。
だから現状のまま買主に引き渡せばスムーズだったのだ。

所がセットバック分を行政へ採納する事を停止条件にしてしまったからさぁ大変。
位置指定道路の所有者全員からハンコをもらうのに難儀して、
引渡し期限までの時間はどんどん無くなるし、
費用は売主負担で、
測量の費用は勿論、
行方不明者を探したり、
遠隔地にいる人にハンコをもらう費用が嵩んで売主も不満顔。

どうしてこういう事になったかと言うと、
取引全体を包括して見る事ができず、
目の前の状況だけを見て判断してしまったのだな。

それは知識や手続きに不理解があって。
よかれと思ってやった事が、
実はものすごい面倒な事になると言う理解が無かったのだ。
あえていばらの道を歩んだ様な物だ。
その結果、契約破棄の憂き目に遭いそうなのだ。
自ら寝た子を起こした様な物なのだ。

不動産屋の力量と言うのはこういう所に出てくる。
それは一般客からは分からない。
力の無い不動産屋に依頼した客は損をする事になる。

この件、今更泣き言を言っても始まらない。
とにかくハンコをもらう事だ。
結局手間暇考えたら、
余計な事を条件に付けてしまったために、
そんなに儲かる仕事じゃ無くなってしまった事に、
今更ながらあほは気が付いた様だ。

変なプライドを捨てて、
取引の前に詳細を俺にちゃんと報告とけば、
こんな苦労をせず、
とっくに取引は完了していたはずだ。
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