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通行するなら1万円支払え

長崎の古い開発団地で、
突然道路の通行ができなくなって大騒ぎになっている。

問題の道路は私道で位置指定道路だと思われる。
住宅団地の所有者は道路の持ち分を持っておらず、
これまでは開発をしたであろう不動産屋が所有権を持っていて、
団地所有者達には無償で使用させていた。

この道路を不動産屋が住宅団地所有者達に売却しようとしたが、
売却価格が折り合わず、
当該私道を市に採納しようとしたところ、
市では道路の設備基準が採納の条件に満たされていないとして採納を拒絶。
そこで私道の所有者は、他の所有者に道路の所有権を譲渡した。

新たな道路の所有者である法人は、
その道路に面する住宅団地所有者に対して、
一世帯当たり月額1万円を支払う様に請求したが、
これを団地所有者達は拒否。
そこで私道所有者は、
クルマが通行できない様にバリケードを設置した。

この問題、
私道の典型的な問題だな。
今後教科書に出てきそうなケースだ。

自分の所有地に面する道路が私道で、
その持分を持っていないとなると、
道路使用に制限が発生する。

法律では、通行権と排水をする権利が認められている。
けれど、通行には条件が加えられる事があって、
人が歩いて通行する事はOKだが、
クルマが通行する事は禁止すると所有者がすれば、
道路使用者はそれに従わなければならない。

一番困るの水道で、
法律が出来た当時水道はまだ一般的では無くて、
水道に関しては法律に記載がない。
従って、新たに水道を引き直す時などは、
道路使用者から掘削承諾を得なければならない。
使用者が掘削を承諾しなければ工事が出来ない。
水道が無い家になってしまうのだ。

住民の中に不動産屋でもいて、
私道の問題が重要であると提起する者が居れば、
住民達も真摯に考えたのだろうけれど、
なぁなぁのずるずるべったんで来てしまったからこういう事になるのだ。

ただ、
住民たちは50年以上無償で通行していたので、
通行権の時効所得を主張すれば、
裁判で認められる可能性はある。

けれど道路を維持管理するにはカネが掛かる。
だから維持管理用を請求する可能性はある。
または、維持管理は住民が負担する事になるかもしれない。

これから接面道路が私道の位置指定道路で、
私道の持ち分が無い場合は、
通行と掘削承諾が得られるかどうかがポイントた。

道路位置指定されているから建築許可は取得できるが、
クルマの通行や水道の引き込みは、
道路所有者の承諾が無ければできない事がある。
そうなれば事実上建築ができないから、
土地の価値は著しく低い物になる。
今話題になっている長崎の住宅団地は、
正にこの事態に陥っていると言う訳だ。

まぁこれから話し合いなり、裁判なりが始まるのだろうが、
問題の根本は住民の無知にあり、
この先、市が採納に応じない限り、
全くの無償で使用する事はできないだろう。

私道に面する土地を購入するのなら、
持分があるかどうかを良く確認した方が良い。
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