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使い捨てマンション

以前扱った客で、
中古のマンションを買った人が居た。

その客は50代の独身女性で、
1DKのリフォームされた部屋を購入した。
ただし建物は古くて、
客と同じぐらいの築年数だった。
だけど、
管理体制が良くて、
建物そのもののコンデションは悪く無かった。

客はいろいろあって独身で、
身内の所に転がり込んでいたんだが、
段々居づらくなって新居を探した。
その際に、
いっその事だから買ってしまえ!
と言う訳だ。

購入したマンションは古くて1DKだから価格が安かった。
ローンを組んだが、
同じ広さの賃貸に住むのなら
ローンの月々の支払いの方が安かった。

マンションの寿命は60年と言われていたが、
実際にはもっと長い。
設備の更新をしてゆけば、
80年ぐらいは平気だと思われる。

件の客、
自分と同じぐらいの築年数のマンションで、
自分が死ぬのと同時位にマンションもダメになる。
独り者だから子供に財産を残す事も無い。
もし客が死んだら、
相続人は相続放棄すれば、
面倒くさい古いマンションの後始末をしなくても済む。

年寄りの一人暮らしで賃貸を探すとなると、
相当苦労する。
大抵はボロの物件しかない。

金持ちで老人ホームに入れるのは、
全体の家の何割かしかいない。
大抵は一般の住宅が終の棲家だ。

件の客の選択はまったく正しくて、
自分が死ぬのと同時に棲家もダメになって、
その後始末は、
相続放棄で片付けてしまえば、
その始末は他人が負担する事になる。

使い捨てにする事が、
マンションの一番正しい始末の仕方で、
偶然の出来事ではあったが、
俺としては目から鱗だった。

他の所有者からしたら、
負担が増える事になるんだが、
本人としたら使い捨てで、
こんなに良い方法があるとは、
なるほど!だな。
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