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事故物件ロンダリング

ちょっと前に、
知り合いの不動産屋から事故物件の相場について聞かれた。
何でも事故物件を専任媒介で扱うらしい。

その不動産屋は、
エンドユーザーの営業をやっていて独立した不動産屋で人が良い。
俺みたいな海千山千の百戦錬磨の不動産屋ではない。
良く言えば良心的な不動産屋だ。

事故物件の相場なんて無い。
ってか売れない。
でも料理の方法はある。
ただし時間は掛かる。

話を聞けば、
「安売りはしたく無い。」
と言う。
俺は知り合いの不動産屋に
「事故物件の相場などは無い。
 やってみないと分からぬし、
 そのまま売るのは相当難しい。」
と答えて置いた。

そしたらそれから二週間ほどして、
「事故物件を売ってくれ。」
と販売図面を持ってきた。
もちろん備考欄に
「。※心理的瑕疵あり。」
と記載されていた。
価格は相場よりも気持ち安い程度だ。

首都圏郊外の一戸建中古で、
事故物件をストレートに売るというのは、
余程運が良く無ければ売れない。

都心で売り手市場の場所であれば売れるだろうが、
買い手市場の首都圏郊外の住宅地で、
しかも購入者が一般エンドユーザーでは相当難しい。
しかもそんなに安くない。

しかし売る方法はある。
不動産ロンダリングするのだ。
ただし時間が掛かる。

事故物件を直ぐに売らないで賃貸に出すのだ。
もちろん外国人の居住も可にしてちょっと割安の家賃設定にしておく。
ただし契約期間を設けて置く。
期間設定の理由は、
所有者が使うとしておけば良い。

一般の日本人は事故物件を借りようとは思わないが、
外国人は案外そういう所は気にしない。
できれば技能研修などで来日している外国人ならばぴったりだ。
契約者は技能研修者を受け入れる企業になるからだ。
いわば社宅として借りる訳で、
もちろん契約者には事故物件である事を説明する。
しかし企業が入居者にその事を説明するかどうかは
こっちの知ったこっちゃない。

最初外国人に入居してもらう。
もちろん心理的瑕疵について説明する。
1~2年ぐらい住んでもらったら、
今度は日本人に入居してもらう。
今度は心理的瑕疵の説明はしない。
なぜなら、
以前の入居者が心理的瑕疵の要因となった人とは無関係の人が居住しているからだ。

ふた世帯目の入居者が退出したら販売に掛かる。
もちろん心理的瑕疵についての記載はしなくても大丈夫だ。
なぜなら、
ふた世帯もそこに居住していた実績があるからだ。

念を入れるのならば、
事故があった事を知らない不動産屋に専任を任せればなお良し。
もちろん知っていたとしても知らないふりをしていれば良い。

手間と時間は掛かるが、
こうすれば事故物件もロンダリングして一般の物件として売却ができる。
直ぐには売れないが、
売却するまでの間、
家賃収入も入って来るから損はしない。

知り合いの不動産屋はロンダリングをせずに、
ストレートに物件を広告に出してしまった。
これは一番まずいやり方だ。
こうしてしまった事で、
多くの不動産屋が件の物件は事故物件だと言う事を認識してしまった。
「事故物件だとは知らなかった。」
と言えなくなってしまったのだ。

事故物件は絶対に売れないと言う事は無い。
中には心理的瑕疵を気にしない人もいる。
ただし殆どの人は嫌がる。
少子高齢化、
消費増税、
中華コロナで経済が低迷している現状で、
事故物件をストレートに売る事は相当運がよく無ければ売れない。

件の物件、
この様な状況で一番まずい売り方をしてしまったという事だ。
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