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調整区域の住宅

都市計画法と言う法律があって、土地には目に見えない法律が掛かっている。
どこに何を建てても良いと言うわけでは無い。

都市計画法内には、市街化区域と市街化調整区域があって、
市街化区域は、街を形成させる地域で、建築が認められている。

一方、市街化調整区域は、農地を保護する地域で、原則とし勝手に建築できない。

ただし、開発申請を出して認められた土地については建築する事ができる。
首都圏郊外では、これを利用して建売の開発が進められてきた。

調整区域は建築できる物に制限があるから担保評価が低い。
それに駅から離れている事もあり、地価は安い。
同じ価格でもより広い土地を買う事が出来る。
これがウケて市街化調整区域の宅地は売れた。

しかし駅から離れて、自然は一杯あるけれど、周りには商店も何も無い。学校も遠い。
天気が良い日ばかりでは無い。雨の時も雪の時もある。

大人は良い。クルマがあれば不自由はない。
子供が大変だ。

子供が小さい内は良い。しかし電車で通学する様になったら、案外難儀だ。
冬は日が暮れるのが早い。女の子だったら心配になる。
雪の日はどうするのだ?間違えなく送り迎えができれば良いが、
そうでない時もあるだろう。

それから歳を取った時に困るだろう。
買い物にゆくにしても近くに店は無く、どこへゆくにしてもクルマがなければ話にならない。
子供の代が同居してくれれば良いが、不便を嫌って親世代だけになったら、
暮らして行けない。
歳を取ったら、田舎よりも市街地の方が格段に便利だ。
処分するにも、少子化で購入者が居るかどうか。
それに建物も古くなっていたら、価格は二束三文だ。

不動産を選ぶ時は、現状に目がゆきがちだか、先の事も考えなければ将来負担になる事がある。
安いから、広いからと安易に飛びつくべきでは無い。
不動産屋をやっていて、駅から離れた不便な調整区域の建売に飛びつく客を見てつくづく思う。



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