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責任は軽くない

九州で、大型ユンボを搭載したトレーラーが踏切で立ち往生して、そこに観光特急が突っ込んで脱線した。

 トレーラーの運転手は、非常停止ボタンを押そうとしたが間に合わず、列車が衝突してしまった。よりによって衝突したのは観光特急で、いくら古い車体を改造した車両とは言え、営業の目玉でもある観光特急の破損で、鉄道会社の営業損は大きい。

 踏切で立ち往生した運転手の責任が問われ、運転手は責任を問われるだろう。つまり、全ての損害を運転手が負わなければならないという事だ。

 鉄道車両は高額だ。そこらで走っているクルマとは桁が違う。しかも三連休の初日に事故を起こして、鉄道会社の損失も大きい。その損害は数千万円になるんじゃないか?積載していた大型ユンボもそうだ。破損していたら修理費、使えない間の営業損、ユンボを積載していた車両もそうだ。これも修理費と営業損を合わせたら、そこそこの額になるだろう。

 運送会社というのは、車両に保険を掛けていない所が多い。全部の車両に保険を掛けて居たら膨大な金額になる。だから個別に保証する方が、トータルで安くなるのだ。

 この事故、仕事中の事故だから、大型重機を運搬していた会社が一旦は責任を取る。そして会社は更に、ドライバーに過失責任を問う事になる。

 もしドライバーの賠償能力が無かった場合は、会社は丸損だ。鉄道会社も同様で、運送会社に賠償能力が無ければ取れない事になる。

 こうして事故や事件が起きても、完全に賠償される事は無い。損害を受けた方も、その損害を壁―出来るだけの力があれば良いが、もし無ければ、それが原因で破たんしてしまい、どこへも賠償を求める事が事実上できなくなる。世の中の不条理だ。

 事故はちょっとした事で起きる。普段の慣れから起こる。その油断から、取り返しのつかない事が起きるから恐ろしい。

 でも逆に考えれば、常に自覚をもって注意していれば、事故は防げる。たとえ起こしても、小さく済ませる事ができるのではないだろうか。

 この事は、ウチの業界にも言える事だ。ちょっとした事が、大ごとになるなんてのは良くある話だ。
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