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望まない夏祭り

俺の事務所は分譲の集合住宅だ。だから管理組合と自治会に入っている。
居住者は、段階の世代が多い。

自治会では毎年7月下旬に夏祭りを催す。
昔は子供が沢山居たから、子どもたちで賑わっていたが、
今はその子どもたちが巣立って、親たちだけが残って、段々高齢化している。

毎年夏祭りが開催される時期は、梅雨明けの時期で、厳しい暑さの時でもある。
昔はみんな若かったから、夏祭りの準備の櫓建てやテント張は、
暑さも物ともせず、準備にあたった。

しかしみな高齢化した今、その準備が負担になっている。
一昨年は、熱中症で具合が悪くなった人まで出た。
夏祭りといっても、祭事の夏祭りでは無い。元々は子どもたちの為の夏祭りだった。
しかし子供が居なくなった今、夏祭りを開催する意義は薄くなって、
却って、高齢化した住民にとっては負担になっている。

神社があって、神事としての夏祭りなら開催の意義もあるが、
イベントとしての夏祭りとしては、住民の負担が大きくなっているのだ。

子供も減ったし、そろそろ夏祭りの開催を止めた方が良いのでは無いかと、
住民の多くがそう思っている。
その事を自治会で提案した事もあったが、
自治会長はお祭好きの男で、夏祭り開催に関する話し合いもせず、
頑として受け入れず、今年も夏祭りが開催される予定なのだ。

お祭り好きの自治会長、もう10年ぐらい自治会長に就任している。
自治会長などと言う面倒くさい事は、誰もやりたくないのだ。
しかし件の自治会長、人の上に立つ事が好きな人で、
毎年率先して自治会長を努めてくれるから、みんなお任せしてしまう。
その結果、自治会長の思うままになっているのが現状だ。

今年も住民はいやいやながら夏祭りの準備に取り掛かっている。
俺は現在、自治会とか、管理組合には関係ないが、
一昨年、管理組合の理事だったから、夏祭り準備の要請が来ている。

住民の多くが必要無いと思っている夏祭りを、
これまた嫌々ながらの住民が暑い中、夏祭りの準備を行なって、
今年も夏祭りが、開催されるのである。




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