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重説が作れない不動産屋

不動産の売買契約をする前に、
顧客に対して重要事項の説明書を交付して、
口頭で説明しなければならない。
いわゆる重説という奴だ。

これは物件の説明書みたいなもので、
物件のプロフィールや、
物件に掛かる法律、
契約の内容などについて説明している。

重説を作成するには、
現地調査はもちろんの事、
役所への調査が必要になる。
契約内容については、
法律に定められた事があり、
その他については、
当事者同士で取り決める。

ちゃんと調査すれば書けるはずなんだが、
昨今の一部の業者は、
重説がちゃんと書けない業者がある。
不動産屋なのに、
契約に関わる重要な書類の作成ができないのだ。
これは致命的だ。

こいつら、
建売などの商品物件などの、
整えられた物件の重説は書けるが、
ウチが扱っている調整区域の昔の開発現場などについては、
書けないのだ。
俺にはそれが不思議でならない。

俺はこの業界に入って、
最初に放り込まれたのが仕入れ開発部で、
当時属していた会社は、
癖のある物件が多かったから、
鍛えられた事もあるが、
役所を調査すれば重説など書けるはずだ。

もちろん重説を書くのは、
知識のある宅地建物取引士なんだが、
昨今の宅地建物取引士免許の試験は、
業者に属している奴は点数に下駄履かせてくれたり、
レベルが下がっているせいか、
ちょっと癖のある物件にの重説が書けない奴が案外多い。

実は今、ある業者から、
重説を書いてくれを頼まれている。
ウチはその取引には関わっていないから、
取引に関わって重説を書く事はできない。
ただし、
重説が書ける程度の資料は提供してやるから、
後は自分で考えて書けと言ってやった。
もちろん調査費用は頂く。

取引の重説を書くのは、
不動産屋の仕事のひとつだ。
いや、
重説を書くのが不動産屋で、
それができない事は、
不動産屋として致命的だ。

最近新規に立ち上がっている不動産屋は、
大抵どこかの会社に属していた営業マンが独立した奴が多くて、
その大半は営業マン上がりだ。
昨今の営業マンは、
建売などの商品物件ばかり扱っているから、
癖のある素の物件の事は良くわからない様で、
調整区域のちょっと癖のある物件については、
何も分からないみたいだ。

しかし重説も書けないのに、
良く不動産屋をやっているものだと、
ある意味感心する。
当然そんな業者にはトラブルがついて回る。

自慢じゃないが、
俺なんざ取引でトラブった事など一度も無い。
むしろトラブりそうな所は、
敢えて詳しく重説に記載しておく。

たとえば建物のシロアリの瑕疵については、
「その可能性がある。」と記載してしまう。
客には口頭で更に説明を付け加えて、
認識させ納得の上で署名捺印をもらう。

そうしておけば、
後でシロアリの被害が発見されたとしても、
ちゃんと説明して客も納得の上で署名捺印しているから、
損害賠償請求される事は無い。

バカな不動産屋は、
まずいところを隠して契約を締結する。
そしてそれが後日バレて裁判沙汰になり、
損害賠償請求を食らう。

また知識不足、調査不足をごまかして書類を作成し、
後日トラブルになる事もある。
これもちゃんと勉強して調査しておけば、
トラブルになる事もない。
なんか年々業者のレベルが下がってきているみたいで、
この先、不動産業界はどうなっちまうんだろうな。

ウチは難解な癖のある物件を面白がって料理している変態不動産屋で、
むしろ一般的には、
ウチの方がアタマおかしいのかも知れない。
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