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意味が理解できないベテラン営業マン

何度か当ブログにも上がっている現場の話なんだが、
隣地との高低差が約1.5m程度あって、
その擁壁がCBで積んであり、
しかも隣地に若干越境している現場。

この現場はあるベテラン営業マンが持ち込んだ物件。
ウチの立場は仲介だ。

もしもこの現場を客が気に入ってウチで重説を作った場合、
当該擁壁について、
1. 高低差により、建築に制限を受ける可能性がある事
2. 擁壁が隣地に越境している可能性がある事
について記載しなければならない。

これを是正するにはそうだな、工事費で150万円ぐらいかかるかな。
その旨を購入者に告げなければならない。
もし告げずに契約を薦めた場合、
後にウチが損害賠償請求を喰らう事になりかねない。
だから、
「この現場に客づけしても契約にはならないから撤退した方が良いぞ。」
とベテラン営業マンに言ったんだが、ベテラン営業マンは、
「それは売主の責任だから。」
と、俺が言っている意味が理解できず、販売を継続する気満々だ。

この営業マン業歴30年以上だが、宅地建物取引士の資格は持っていない。
当然深く勉強した事がない。
確かに日々の業務に就いては精通しているが、
法律関係については深い部分まで知識が無い。

不動産の売買というのは、法律の塊だと言っても過言では無い。
建売などの商品物件は、問題の有る箇所は処理されて、
きれいな状態で販売されているから素人でも売れる。

だけどそうじゃない、地が出ている物件は様々な問題があって、
それをクリアにするか、
その旨説明したり条件を付けたりして売買しなければならない。
これができていないと、後でトラブルになって損害賠償請求を喰らう。

俺はこの業界に入る際に、仕入れ開発から入っているから、
開発関係を中心に、
不動産に関する法律や現場の事をなどを徹底的に叩き込まれた。
だからウチは複雑な物件を難なくこなす事ができるが、
それは知識があって、処理の仕方を知っているからだ。

主に商品物件ばかり扱ってきた者で資格の勉強もして来ず、
表面の経験ばかり積んでいたらベテランと言えども、
目に見えない部分の事が分からないのだ。

だから不動産業界については、
ベテラン営業マンと言えども信用できないのだ。

不動産業界は幅が広く奥が深い。
失敗すると損害賠償の額もけた違いにデカい。
俺はその辺りの事を新人の時に徹底的に叩き込まれた。
おかげでこれまでトラブルはひとつも無い。

たまにいちゃもんを付けてくるバカなエンドユーザーが居るが、
そんな物は全て門前払いだ。
中には弁護士に相談に行った奴も居る様だが、
こちらが正当なので、逆に弁護士に
「あんたの主張は通らないよ。」
と、説得されて帰って来た奴も居ると聞いている。

この営業マン、
確かにベテランではあるが奥はそれ程深くない。
だから無用なトラブルを抱えたり、
折角利益にできる物を逃したり、
見ていると大層効率が悪い。

そのくせ自分はベテランだと言う自負があるから手に負えない。
まぁ俺はそれを生暖かく見守るしかないのだけれどな。
でも、折角の獲物を逃している所を見ていると、
歯がゆくて仕方ない。
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