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字が書けない 大人の発達障害一家

もう故人なんだが、絶対に字を書かない人が居た。
昭和一桁生まれで、尋常小学校卒業だ。
俺はその人が字を書いた所を見た事が無い。
書面に署名捺印しなければならない時は、いつも奥さんが書いていた。

当初俺は、面倒くさいから奥さんに書かせているのだと思っていた。
しかし、自書捺印の場合でも奥さんが書いていた。
だから俺は、相当字が下手くそで、書きたくないのだと思っていた。

いくら何でも、字が書けないとは思っていなかった。
マトモに社会生活はしているし、かつては勤めていたのだし、
いくら何でも自分の名前ぐらいは書けるだろう。
家も立派な家で、庭も職人を入れて手入れがしてある立派な物だった。

ただ、自己中心的な性格で、しょっちゅう怒っていて、
近所に聞こえる程、いつも大きな声を出していた。

俺はこの人の事を、
自分を上手くコントロールができない。
理論的に話をしても、感情的になって理解しない。
変わり者だという印象を持っていた。

ちょっと前に、大人の発達障害についてテレビでやっていた。
その人は、字が書けないと言うものだった。
眼で見た字の形を、自分の手で上手く書く事ができないのだ。
形が逆になってしまったりしてしまうのだ。

俺は、件の人はこれでは無いかと思った。

大人の発達障害について調べてみたら、
感情をコントロールできない、怒ってばかりの特徴を持つ
発達障害もあると書かれていた。

ビンゴだ。

そう考えると、思い当たる節が沢山ある。
字が書けなかったり、自分をコントロールできない以外は、
他の人と変わらないどころか、キッチリしていた。
家は立派だし、庭も立派だし、
ただ世間体をやたら気にするところがあった。

俺は、家や庭が立派だったり、世間体をやたら気にするのは、
字が書けないという、他の人と劣る事を隠すためのコンプレックスだと気が付いたのだ。

この家には娘が二人がいる。ももうすっかり大人なんだが、
この子供にも発達障害なのでは無いかと思われる行動がみられる。

上の娘は、片付ける事ができない。
部屋はもちろん、台所などはとても料理ができる状態では無い。
これは常にそうなのだ。

下の娘は、物事を理解する事ができない。
日常的な簡単な事は理解できるが、
ちょっと難しい、複雑な人の言う事や、
書いてある事を理解できないのだ。
自分で複雑な事を理解する事ができない。
結論から逆算して、準備する事ができない。
段取りが取れないのだ。

娘二人は結婚して子がいたが、
二人とも離婚した。
二人とも、ご主人が出て行った形になっている。
下の娘は子供を虐待していて、犯罪にも手を染め、
子供を連れて、ご主人が出て行った形だ。

更に奥さんもその気がある。
奥さんも下の子と同じ症状だ。

この一家は、発達障害一家なのだと言う事に俺は気が付いたのだ。
発達障害を前提に、この一家の事を考えると全てに合点が行く。

発達障害と言うのは、脳の中にあるふたつの海馬の内、
片方が未発達なため、神経ネットワークが未発達の事が多く、
相手の表情や空気を読む事ができず、
言葉の外にある意図をくみ取ったりする様な事が難しいという症状があるのだそうだ。

表面的には、知的障害がある訳ではなく、健常者と見分けが付かない。
ただ、相手の表情を読む事ができなかったり、
意味が理解できなかったり、
得手不得手のギャップが大きいため、
時としてトラブルを引き起こす事がある。

件の一家でちょっと気になる事がある。

それは、孫にもその気があるのでは無いかと言う事だ。
数人いる孫の内二人が自閉的なのだ。
もうとっくに成人しているが、定職に就いていない。
普通に生活をしているが、何か大切な物が欠落している様に思える。
「生きて行かなければならない。」
という危機感がふたりからは感じないのだ。

世の中にはたまに「変わり者」が居るが、
もしかしたら、その様な人たちは、発達障害なのかも知れない。
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