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あっという間に出来る建売

昔の建売に比べ、今の建売は数段良くなった。
しかし建売はやっぱり建売。
その片鱗を今現場で見ている。

昔の建売は米栂の辺材を使っていたから、反るは捩れるは暴れて仕方なかった。
窓枠もスプルスなんかを使っていたから、こちらも反ったり捻れたり、しかも大工の手によっては
木口が荒かったり、油でペンキに斑が出たり。

今の建売は集成材だから躯体が暴れる事はほぼ無い。
窓枠も工場で作られた既成品で、品質が一定している。

今の建売は現場作業が楽になった分、スピードを求められる様になった。
そこに問題がある。

基礎なんだが、生コン流して2日で枠を外してしまう。
しっかり養生していないから仕上がりは白っぽい。
コンクリートは水と薬剤を反応させて強度を出す。
所が枠を早く外して今うと、水分が蒸発してしまい反応ができず、本来の強度が出ない。
だから生コンを打ったらしっかり養生、少なくとも5日から7日は養生したい所だ。

それから驚くべきは建て工事で、土台の布設から建て、外壁下地、屋根、サッシまで
正味5日で仕上げてしまう。
プレハブ住宅並みの早さだ。

仕事ぶりを見てみると、当然粗い。大工はスピードを求められているから、
精度は二の次だ。工期に間に合わなければペナルティをくらう。
特に気になったのは、建具周りの防水だ。あれじゃ雨漏する事があると思う。

建材の発展で現場作業が少なくなり、建てに掛かる作業が無くなったから、
その分時間は掛からなくなったが、発注者は更なるスピードを求め、また安価を求めるから、
仕事が荒くなるのは当然だ。
家は一生使うも物。それがこれでは嫌だな。

建売だけじゃない。ビルダーが作る注文住宅も同様だ。それでいてそんなに安くない。
モノ作りよりも経済が優先される昨今の建築。
スイードアップも技術のひとつだが、それが本来の部分を阻害したら何の意味もない。
人間のやる事には限界がある。
しかし経済を元に考えたら、早く建物は建ててもらいたい。

あまりに社会に余裕が無くなって、様々な事が限界に来ている。
社会全体に余裕がなければ、この様な事は続くのだろう。


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