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職人技

今外構工事を請け負っていて、人手が足りないから、俺が自ら現場仕事している。
と言っても、今回は半分以上監督だ。

水道メーターを移設しなくてはならなくて、普通の管なら自分でやってしまうのだけれど、
止水栓からメーターまでの管が特殊な缶を使っていて、
部材が専門業者でないと仕入れができなくて、
仕方なく外注しようとしたんだが、生憎俺の知り合いの水道屋は全員、
引退したか廃業してしまって一人もいない。

そこであちこち当たったんだが、どこも忙しくてやってくれるところが無くて困っていた。
仕方なく、引退した水道屋に電話して、誰か業者を紹介してくれるように頼んだら、
「そのぐらいなら、俺がやってやるよ。」
と言ってくれて、直ぐに施工する事ができた。

一応予め現場を見てもらって、今日施工したんだが、
案の定、特殊な管で、一般的なソケットが入らない。若干管が太いのだ。
水道屋が持ってきた部材は、ホームセンターで手に入る一般的な部材。
それではソケットに特殊な管が入らなくてダメなのに、
どうしたかというと、
ソケットの周りに接着剤を塗って火をつけてソケットをあぶって、
ソケットが柔らかくなったところで、太い特殊な管をつっこんだのだ。

そうしたら柔らかくなったソケットに太い管が見事に入った!
ソケットに形がついたら管を抜いて、接着剤を付けて改めてはめ込んだ。
見事管が繋がった。

こういう手があったのか!さすが業歴45年。
久しぶりに感動する技を見せてもらった。
俺たちの手には到底負えなかった。
日本の技術は、こういう職人技の積み重ねで出来上がっているのだと、
感心したのと、
こういう技術を持っている人と、懇意にお付き合いさせてもらっている事に感謝した。

こういう人が引退してしまって、技術が伝承されないのは大きな損失だ。
最近の建築技術は、みな工場でくみ上げて、
現場でははめるだけのインスタント工法になりつつある。

確かに合理的にコストも安いが、根本的な技術が失われつつある。
全てを便利にしてしまう事には疑問があるな。

それにしても、久しぶりに職人技を見せてもらった。
また仕事があったら引き受けてくれるとの事で、
これからよろしくお願いした。


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