忍者ブログ

郊外マンション管理組合は素人の集まり

守秘義務があるから、
具体的な事は書けないので予め断っておく。

弁護士の紹介で、
あるマンションの一室を売却依頼された。

その部屋は、
高齢者が一人住まいしていたんだが、
数年前に亡くなって、
相続人が誰だか分からなかったらしい。

一人暮らしの居住者が死亡したので、
管理費や修繕積立金が途絶え滞納し始めた。

そこで管理組合は司法書士に依頼して、
相続人を探してもらった。
その結果、
相続人は二人いる事が分かって、
件の部屋を売却して滞納金を支払う事にしたそうだ。

債務者である相続人は不動産屋に依頼して
不動産屋は客付けして売買契約が成立したんだそうだ。
これで滞納金が支払える。

所が当時の管理組合は管理規約にある通り、
滞納金元金に加えて、
約14%の遅延損害金の支払いも要求した。
相続人に支払い能力は無く、
売却代金の内なら支払えるが、
遅延損害金を支払いに含めると、
売却代金を超えてしまうため、
遅延損害金は支払えない。
管理組合は頑として遅延損害金の支払いを求めたため、
この売買契約は白紙撤回となってしまった。

その後数年放置され昨年管理組合は、
この件について弁護士に依頼して訴訟を提起し、
俺の所にお鉢が回って来たと言うわけだ。

白紙になった売買契約から数年が経過していて、
その分も未払金が発生している。
売却を依頼されたマンションは首都圏郊外で、
しかも駅から離れているから、
正直言って価格は二束三文だ。
売却しても滞納金は回収できない。

それどころか、
仲介手数料、残置物の撤去費用、ハウスクリーニング、弁護士費用を含めたら、
売却代金は消えてしまうどころか足りない。
結局管理組合は滞納金を回収できないどころか、
更に自腹で弁護士費用を支払わなければならない事態になってしまった。


数年前に遅延損害金を免除してやれば、
滞納金を全額回収できて、
弁護士などの余計な費用を支払わなくても済んだのに、
素人の浅はかな考えで、
遅延損害金の支払いを求めたが為に、
管理組合は大損こくハメになった。

それでも管理組合がこの件を処理しようとするのは、
このままその部屋を放置したら、
管理費や修繕積立金が永遠に入って来ないのはもちろんの事、
管理上問題が発生するのはもちろんの事、
非常的な大規模修繕や、
建て替えなどの問題が発生した場合、
区分所有法では3/4の賛同が得られれば可能だが、
現実的には全員の賛同が得られないとできない。

また、
室内に動産があり所有権があるから、
これを勝手に処分できない。
これを処分するには裁判所で手続きを取らないと勝手に処分できない。
その時間と費用が掛かる。

つまり、
時間が経てば経つほど管理組合には負担が山積みになると言う事で、
放おっておけば置くほど管理組合の傷口は深く広くなるから、
この歳、
費用が掛かっても、損切りしても、
この件を処理しないとダメだと判断したんだな。
懸命な判断だ。

都心のマンションなら、
弁護士などのインテリが住んでいるから、
管理組合に知恵があって、
この手の問題は、
問題が大きくなる前にサクサク処理しているんだろうが、
首都圏郊外のしかも駅から離れたマンションあたりでは、
そういう人は居住しておらず、
管理組合は素人の烏合の衆で、
問題が発生しても事態を理解できず、
素人考えで判断するから、
件の様になってしまうのだな。

ウチとしては仕事をすれば利益になるから、
淡々と仕事をすれば良いのだけれど、
その前にひとつ管理組合にやってもらわなければならない事があって、
それは、
管理費・修繕積立金の損切りの件で、
損切りは財産の処分になるから、
あらかじめ総会で損切りする旨の決議を得ていないと、
せっかく契約に持ち込んでも、
また決済できない事態に陥るから、
その点を抑えてもらわないと、
ウチとしても手が出せない事になる。
その辺りの事を、
近日中に管理組合に説明する事になっている。

素人の集まりである管理組合は、
マンションの価値を損ねる事になる。
それは仕方の無い事ではあるが、
それではダメだというジレンマに陥るのだ。
PR